隣家に引っ越してきた朝子は、三十二歳の人妻である。夫の不在が続くにつれ、彼女の目に倦怠の色が濃くなっていた。克彦はとっくに気づいていた。薄い壁越しに漏れてくる溜め息の数が、夫の出張が長引くほど増えるのだ。
克彦は会社員の二十八歳だ。独り身で、隣室との壁が薄いことを知っている。朝子とは共用廊下で顔を合わせる程度の仲だったが、そのたびに彼女の視線が一瞬だけ長く絡むのを感じていた。人妻特有の甘い哀愁が、その目の奥に揺れているのだ。
夫が三週間の出張に出た翌日の夕方、チャイムが鳴った。朝子が立っていた。「味噌が切れてしまって」手に空の計量カップを持っている。口実だ、と克彦は即座に悟った。玄関に差し込む夕陽が、朝子の横顔を橙色に染めているのだった。
克彦は朝子を中に通した。味噌をすくいながら、二人の間に奇妙な静寂が落ちた。朝子が呟くのだ。「寂しいんです、最近」声が微かに震えている。克彦の手が止まる。振り返ると、朝子の目が潤んでいた。三十二歳の女の、取り繕うことを諦めた顔だった。
克彦が近づく。朝子は逃げない。むしろ、わずかに顎を上げる。その仕草が、何もかも語っているのだ。唇を重ねた。朝子の息が細く震える。薄い唇が、すぐに克彦を受け入れる。長い飢えを感じさせる口づけだった。
寝室に移ると、朝子は自らワンピースの肩紐を外す。白い肌が露わになる。夫がいない部屋に、見知らぬ男の気配が満ちているのだ。その倒錯が、朝子の繊毛を濡らす。克彦の指が、花肉の縁をなぞる。朝子の腰が、びくりと震えるのだった。「ずっと……こうされたかった」掠れた声が漏れる。克彦は黙って、さらに指を進める。
花肉は既に蜜を湛えていた。指が二本になると、朝子の双臀が浮く。「あっ……深い」声が甘く変わるのだ。克彦は観察する。夫に飢えた人妻の体が、見知らぬ指によって正直に反応する様を。それが克彦を昂らせるのである。
朝子を四つん這いにさせる。双臀が白く、高く持ち上がる。繊毛が蜜に濡れ、光っているのだ。克彦は剛直を花肉の入口に当てる。「……入れて」朝子の懇願が、部屋に溶ける。克彦はゆっくりと沈み込む。狭い内部が、驚くように収縮するのだった。
動きを重ねるたびに、朝子の声が大きくなる。夫に抑えてきた声が、解放されていくのだ。「もっと……奥を」懇願が続く。克彦は腰を速める。朝子の体が前後に揺れ、乳房が双臀と連動してぶれる。額に汗が浮き、黒髪が頰に張りつくのである。
「もうだめっ……」朝子の声が上ずる。花肉が激しく収縮し、克彦を締め上げるのだ。克彦も限界に達し、深く押し込んだまま放つ。熱が朝子の内部を満たす。朝子の体が痙攣し、崩れ落ちるのだった。
二人は並んで横になる。天井を見る。夫の写真が飾られた棚が、視界の端に入るのだ。朝子はそこから目を逸らす。克彦は何も言わない。しばらくして、朝子が立ち上がり、ワンピースを拾う。「味噌、ありがとうございました」声が、元の落ち着きを取り戻している。朝子がドアを閉める音が、部屋に残るのだった。
廊下を歩く足音が遠ざかる。克彦はその音を聞きながら、夕陽が完全に落ちるのを待った。薄い壁の向こうに、再び溜め息の音が聞こえた。だが今日の溜め息は、昨日までとは少し違う音色だったのである。